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医療コラム

鉄欠乏性貧血
- 貧血の原因をはっきりさせ、適切な治療と栄養のバランスをとることが大切 -

海上ビル診療所院長 鬼澤 信明

今回は、女性によくみられる貧血(鉄欠乏性貧血)についてお話します。

■貧血とその症状

 「貧血」あるいは「貧血気味」というのはどういうことなのでしょうか。人が生きていくために、酸素はなくてはならないもので、この酸素を体の組織に運ぶ役目を果たしているのは、血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンです。しかし、鉄分の摂取不足や失血などで、赤血球数そのものやヘモグロビンが減少すると、組織は酸素不足の状態になり、貧血の症状が現れるようになります。  症状には顔色が青白い、眼の結膜が白っぽい、頭痛、疲労感、息切れをはじめ様々なものがあります。
 貧血の種類には鉄欠乏性貧血、悪性貧血、再生不良性貧血、溶血性貧血などがありますが、最もよく見られるのは鉄欠乏性貧血です。

■鉄欠乏性貧血の原因

 赤血球の寿命は120日で、毎日120分の1の赤血球が破壊され、新しい赤血球に変わっていきます。鉄は体内の十二指腸と小腸の上部で吸収されて赤血球の主要成分であるヘモグロビンの合成に使われていますが、何らかの原因で鉄分が不足すると次第に貧血状態となっていきます。
 鉄不足の原因には、栄養の偏りなどによる鉄分の摂取不足、消化性潰瘍やがん、痔などの慢性出血による鉄の喪失、腸管からの鉄吸収阻害などがあります。女性は月経により定期的に鉄分を失っている他、更に、月経過多、妊娠中や授乳時に鉄需要が増加する等の理由から、男性に比べて鉄不足になりやすいといえます。実際、定期健康診断などで鉄欠乏性貧血を指摘される方は全女性受診者の10%にものぼります。

■鉄欠乏性貧血と診断されたら・・・・・・

 自覚症状がないからといって放っておかず、貧血の原因をはっきりさせた上で適切な治療を受けることが大切です。それと同時に食生活にも気を配って、栄養のバランスのとれた食事をとるように心がけましょう。以下の表を参考にして鉄分を多く含む食品は勿論、鉄の吸収を促進するビタミンCを充分に含んだ野菜や果物も摂取するようにしましょう。(食品から十分な鉄分が摂取できない時には鉄剤の服用が必要になります。)また、赤血球の生成い欠かせないビタミンB12や葉酸を含んだ食品の摂取も大切です。

  1. 鉄分を多く含む食品
    豚・鶏レバー、シジミ・アサリむき身、干しひじき、大豆、魚、ほうれん草など
  2. ビタミンCを多く含む食品
    ブロッコリー、れんこん、キャベツ、小松菜、カリフラワー、さつま芋、いちご、オレンジ、キウイフルーツ、レモン、柿など
  3. ビタミンB12を多く含む食品
    にしん、さば、カキ、サケ缶詰、レバー、牛肉、卵、」チーズなど
  4. 葉酸を多く含む食品
    カキ、アスパラガス、ほうれん草、くるみ、ピーナツなど

【月刊「丸の内」より出典】

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